2026年に向けてFDI企業が留意すべきベトナム労働法のポイント
Date: 2026.02.05
2026年は、ベトナムにおいて労働・賃金政策の変更が多く見込まれる年とされています。
これらの改正は、実務上の要請、行政改革、労働者保護の強化、そして国際的な枠組み(ILO、CPTPP、EVFTA)への整合を目的としています。
FDI企業、特に日系企業にとって、これらの動向を早期に把握することは、コンプライアンス遵守、法的リスク回避、安定的な事業運営のために極めて重要です。
以下は、2026年にFDI企業が特に注意すべき主なポイントです。

1. 最低賃金および賃金構成の見直し
国家賃金評議会によると、2026年の地域別最低賃金は、生活水準および経済成長率を踏まえて調整される予定です。
FDI企業が留意すべき点:
・最低賃金は、単純労働者に支払う最低額であり、手当は含まれません。
・技能・訓練を受けた労働者の賃金は、最低賃金より7%以上高く設定する必要があります。
・賃金構成は、基本給・手当・その他支給項目を明確に区分する必要があります。
これは、日本企業が賃金テーブルを設計する際に、特に課題となりやすい点です。
2. 労働時間および残業(OT)管理の厳格化
MOLISAによると、残業違反はFDI企業で最も多い違反項目です。
2026年の主な留意点:
・月40時間以内の残業上限を継続適用。
・製造業など一部業種では、条件を満たせば年300時間まで可能。
・残業には労働者の書面同意が必須。
・残業割増賃金の厳格な確認:
+ 平日:150%
+ 休日:200%
+ 祝日:300%
残業文化のある日本企業は、特に勤怠管理体制の見直しが必要です。
3. 職場対話および複数労働者代表制度への対応
2019年労働法およびベトナム労働総連盟の新たな指針により、2026年も以下が強化されます。
・年1~4回の定期的な職場対話
・適正な構成による対話委員会の設置
・ILO基準に沿った労働者代表組織(EoR)の推進
EVFTA・CPTPPに基づき、従来の労働組合以外の代表制度も拡大しており、FDI企業には多層的な労使関係管理が求められます。
4. 社会保険・医療保険・失業保険の監査強化
ベトナム社会保険庁によると、2024~2025年に電子監査システムが導入され、以下が迅速に検出されます。
・保険料算定基礎の不足
・対象者への未加入
・納付遅延・未納
FDI企業の留意点:
・定期的な追加支給は保険料算定基礎に含める必要があります。
・短期契約・協力者への監査強化。
・外国人労働者は政令152/2020に基づき適正管理が必要。
5. 労働安全衛生(ATVSLĐ)―必須書類
労働安全局は、2026年の重点検査項目として、以下を挙げています。
・労働安全衛生リスク評価
・グループ1~6の安全教育記録
・労災記録簿
・高リスク設備の運用手順
・労働安全衛生の定期報告
特に日系企業が多く進出している製造業では、遵守要件が非常に厳格です。
6. 懲戒手続きは書類完備が必須
2023~2024年の判例を踏まえ、裁判所は以下を重視しています。
・懲戒決定には、議事録・証拠・出席者がすべて必要。
・労働組合または労働者代表の参加が必須。
・病気休暇中や妊娠中の労働者への懲戒は禁止。
一つでも欠けると、懲戒決定は無効となり、大きなリスクとなります。
7. 定期報告 ― 忘れがちだが罰則が重い
2026年も以下の報告義務が継続されます。
・半期労働報告
・年次労働報告
・労働安全衛生報告
・労災報告
電子システムにより、未提出・遅延は即座に把握されます。
FDI企業は2026年に向けた早期準備が必要
ベトナムは労働法制を段階的に整備し、
・透明性の向上
・労働者保護
・国際基準への適合
を進めています。
FDI企業は以下を実施すべきです。
・定期的なコンプライアンスレビュー
・最新政策の把握
・HR・給与・コンプライアンス体制の強化
・バックオフィス業務のアウトソーシング検討
専門的なアウトソーシングサービスにより、時間・コストを削減しつつ、100%の法令遵守が可能となります。





