ベトナム2026年最低賃金引き上げ – 企業が準備すべきことは?
Date: 2026.01.30
2025年11月10日、ベトナム政府は政令293/2025/NĐ-CPを公布し、2026年1月1日から施行される地域別最低賃金の引き上げを正式に決定しました。
これはベトナムの賃金政策における重要な転換点であり、人件費、財務計画、福利厚生制度など、企業経営の多方面に直接的な影響を与えるものです。

1. 2026年の新しい地域別最低賃金
政令293/2025/NĐ-CPによると、最低賃金は2024年比で平均7~8%引き上げられます。詳細は以下の通りです。
| 地域 | 最低賃金2024(VND/月) | 最低賃金2026(VND/月) | 上昇率(%) |
|---|---|---|---|
| 地域Ⅰ | 4,960,000 | 5,310,000 | +7.1% |
| 地域Ⅱ | 4,410,000 | 4,730,000 | +7.3% |
| 地域Ⅲ | 3,860,000 | 4,140,000 | +7.2% |
| 地域Ⅳ | 3,450,000 | 3,700,000 | +7.2% |
また、時間当たりの最低賃金も同様に引き上げられ、労働者と企業双方の利益のバランスを図る内容となっています。
出典:政令293/2025/NĐ-CP
2. 最低賃金引き上げの目的
今回の引き上げには、以下のような明確な目的があります。
・物価上昇や生活コストの変動を踏まえ、労働者の基本的な生活水準を保障すること。
・労働生産性を高め、優秀な人材を確保・定着させること。
・2026〜2030年の経済社会発展目標に沿い、持続可能な成長と国際的な競争力強化を図ること。
また、これはベトナムが国際労働機関(ILO)に対して約束した、労働環境改善および公正な労働基準の実現という国際的コミットメントの一環でもあります。
3. 企業への影響
最低賃金の引き上げは、特に製造業・商業・サービス業・輸出関連企業において、以下のような影響をもたらします。
🔹 人件費および社会保険負担の増加
最低賃金は、社会保険・医療保険・失業保険の算定基準となります。
そのため、総人件費が上昇し、労働集約型の業界では特に負担が増える見込みです。
🔹 労働契約・団体協約への影響
すべての労働契約を再確認し、賃金が新しい最低賃金を下回らないよう調整する必要があります。
労働協約や契約付属書の改訂も行い、法令遵守を確保することが求められます。
2026年の予算計画には、新しい賃金・手当・保険料を反映させる必要があります。
🔹 賞与・福利厚生制度の見直し
最低賃金の上昇に伴い、賃金全体の水準が上がるため、企業は報酬制度・手当・福利厚生を再検討し、競争力と従業員満足度を維持することが重要です。
4. 企業が取るべき準備
スムーズな移行期を迎えるために、企業は以下の対策を講じることが推奨されます。
4.1. 法的情報の正確な把握
政令293/2025/NĐ-CPの内容および政府が定める地域区分を確認し、正確に適用する。
4.2. 賃金体系と人件費の見直し
現行賃金と新基準を比較し、法令遵守と同時に労働市場での競争力を維持する。
4.3. 保険料・個人所得税への影響を試算
賃金上昇により、社会保険料・個人所得税(PIT)が変動するため、2026年度の財務計画に反映させる。
4.4. 人事ポリシーの再構築
能力給・成果給・KPI連動型給与体系の導入を検討し、コスト最適化とモチベーション向上を両立させる。
4.5. デジタル化・自動化への投資
ERP・HRMなどのデジタル管理システムを導入し、効率的な人事・コスト管理を実現する。
5. 政策のポジティブな側面
短期的には人件費の上昇をもたらすものの、この政策は長期的にベトナムのビジネス環境を改善する以下のような効果があります。
・労働者の生活水準が向上し、生産性全体の底上げに寄与する。
・賃金政策の透明性が高まり、企業は予算策定や経営計画を立てやすくなる。
・法令遵守と社会的責任を果たす企業としてのブランド価値向上につながる。
結論
政令293/2025/NĐ-CPは、2026年のベトナム労働政策における大きな転換点です。
ベトナムで事業を行うすべての企業は、規模や業種を問わず、給与体系・福利厚生・財務計画を見直し、柔軟に対応することが求められます。
これにより、持続的で競争力のある経営基盤を構築することが可能になります。





