健康保険証の正しい使い方:どの病院で100%の補償が受けられるのか?
Date: 2025.08.14
健康保険証を持っているのに、なぜ医療費を自己負担しなければならないのか?
紹介状なしの診療で、健康保険の給付が受けられなくなる?
実は健康保険証を持っているからといって、誰もが100%の医療費をカバーされるわけではありません。しかし、2024年から施行された数々の前向きな制度改正により、多くの患者が診察・治療費を全額無料で受けられる可能性が広がりました。自分がその対象かを知り、適切な医療機関を受診すれば、その恩恵を受けられるのです。
この記事では、次のポイントを明確に解説します。
・どのような人が健康保険による医療費を100%補償されるのか?
・どの医療機関を受診すれば「正規ルート」と見なされるのか?
・情報不足で損をしないために、どのような点に注意すればよいのか?
1. 紹介状不要で健康保険が全額負担される62の疾病リスト
保健省が発行した通達「01/2025/TT-BYT」によれば、2025年1月1日より、62種類の重篤な疾病、希少疾患、または高度な医療技術を必要とする疾患にかかっている患者は、紹介状なしで健康保険から診療費を100%補償されるようになります。
この対象となる主な疾病には、以下のようなものがあります。
・結核性髄膜炎
・髄膜の結核性腫瘍
・肺の非結核性抗酸菌感染症
・胸腺の悪性腫瘍
・希少がん各種
・先天性代謝異常症など
➡️ 対象となる患者は、省レベルの病院や中央病院を直接受診可能であり、これまで必要とされていた「紹介状」がなくても診療を断られることはなく、医療費も全額保険でカバーされます。
2. 健康保険による医療費を100%補償される対象者
前述の62種類の重篤疾患のほかにも、新しい規定(2025年施行)では、健康保険で診療費が100%カバーされる対象者の範囲が大幅に拡大されています。対象者は以下のとおりです。
🧍♂️ 優先対象者および特別政策の対象者
・現役の軍隊・公安部隊の隊員、およびその訓練生、常備民兵
・革命功労者、退役軍人、戦没者の遺族
・6歳未満の乳幼児
🏠 経済的に困難な立場にある人々
・貧困世帯に属する人
・少数民族で、準貧困世帯に属し、困難・特別困難地域、島しょ部、離島に住む人
・革命安全区の村や、遠隔地・経済的に困難な地域に住む人
💸 年金・給付金を受け取っている人々
・社会扶助、養育補助金、遺族年金などを受けている人
・75歳以上で遺族年金を受けている人
・70歳以上75歳未満で、準貧困世帯に属し遺族年金を受けている人
・低額の年金または労働能力喪失給付を受けている人
🏥 特別なケース
・【項目1】で紹介した保健省発表の62疾病に該当する患者
・緊急時に最寄りの病院で診療を受け、かつ有効な健康保険証を所持している人
・健康保険に5年以上継続して加入し、治療費が保険の上限額を超えた場合、その超過分が100%補償される人
2025年からの新制度では、対象者の拡大に加え、特に重篤な病気や救急医療のケースにおいて、手続きの簡素化と給付の手厚さが実現されます。これは、すべての国民にとって公平で利用しやすい医療制度への重要な一歩です。
3. かかりつけ医療機関での正規受診で健康保険費用を100%負担
規定によれば、健康保険(BHYT)加入者は、一次医療機関に該当する施設で正規ルート(適切な医療機関)を受診した場合、医療費が100%補償されます。具体的には、以下の施設が該当します。
一次医療機関に該当する施設
・町、村の保健ステーション(保健所)
住民に最も近い基礎医療機関で、一般的な疾病の診断・治療を行います。
・家庭医療診療所または家庭医療センター
家庭医療モデルに基づき、初期の健康管理サービスを専門的に提供する診療所や医療センターです。
・軍、民間保健ステーションおよび診療所
軍隊医療システムに属し、軍人や軍事区域の住民に医療を提供します。
・県レベル医療センター(診療所形式で許可を得た医療施設を含む)
県内の多機能診療所で、一般的な疾病の対応や必要に応じて上位医療機関への紹介を行います。
・保健省長官が定める機関・組織の医療機関
権限を有し、営業許可を受けた各種機関・組織の医療施設です。
・軍・警察の一次医療機関
国防省および公安省の規定に基づく医療施設です。
重要な注意点
・診療は正規ルート(上記の一次医療機関)で行われなければなりません。
・健康保険加入者がこれらの医療機関を利用した場合、保険基金が診療費の100%を支払います(給付範囲内で)。
・これは住民が基礎医療サービスを積極的に利用し、上位医療機関の負担を軽減し、医療費の節約にもつながることを促進する制度です。

4. 健康保険で受診する際に持参すべき書類
*健康保険証を使って診察・治療を受ける際は、以下の書類を準備することで、給付を十分に受けられます。
・有効な健康保険証:社会保険機関が発行した、期限内の正式な健康保険証の原本。
・身分証明書:写真付きの身分証(身分証明書、国民IDカードなど)で本人確認を行います。
*健康保険証関連書類(必要に応じて):
・健康保険加入申請書:
初めて加入する場合や保険証の更新時に必要です。
・加入者名簿:
集団管理対象者の場合は、所属機関や地方自治体が発行した健康保険加入者名簿を提出します。
また、緊急医療や最寄りの医療機関での診療を受ける場合は、100%給付対象者であることを証明する書類を持参することが望ましいです。(例:貧困証明書、政策対象者証明書など)
5. 結論
健康保険証は小さなカードですが、その価値はとても大きく、特に健康上の困難な時に役立ちます。しかし、医療費を100%負担してもらうためには、単に「保険証を持って行くだけ」では不十分です。
重要なのは、正しい知識を持ち、適切な医療機関を受診し、必要な書類を揃えることにあります。
2024年〜2025年の制度改正により、多くの病気や対象者の給付範囲が拡大し、紹介状なしで診療を受けても全額補償されるケースが増えました。これは大きなチャンスですが、正しく活用できてこそ意味があります。
⚠️ 健康保険給付を損なわないための重要なポイント
🔹 診察時は必ず健康保険証の原本と身分証(国民IDカードや身分証明書)を持参すること
🔹 初診登録した医療機関をしっかり確認し、必要に応じて正規ルートで受診すること
🔹 県レベルの病院で入院治療を受ける場合、紹介状なしでも100%補償されること
🔹 62種類の重篤疾患に該当する場合は、中央病院を直接受診しても健康保険で全額支払われること
🔹 緊急時は紹介状不要で最寄りの病院へ行き、後から保険証を提示すればよいこと
🔹 健康保険証の有効期限を定期的に確認し、期限切れで給付拒否を防ぐこと
ソース:法律図書館 — 通達01/2025/TT-BYTより引用





