石川県能登半島地震2025年:深刻な被害警戒と避難体制の課題
Date: 2025.06.19
📌 要約:石川県地震2025年:深刻な被害警戒と避難体制の課題
出典:NHK|2025年5月7日発表
1. 背景
石川県は、2025年5月に27年ぶりとなる新たな地震被害予測を公表し、深刻な自然災害のリスクに直面しています。この動きは、2024年1月1日に能登半島で発生した大地震による甚大な被害を受け、輪島市や珠洲市、能登町などの地域で特に影響が大きく、地域の災害対応体制に大きな負担がかかっている状況を踏まえたものです。
一方で、最新の発表とともに現地の状況をみると、特に輪島市の一部避難施設は依然として安全性に課題があり、これから迎える雨季に向けて高いリスクにさらされていることが明らかになっています。

2. 主な被害想定シナリオ
🔹(1)森本・富樫断層帯(主に金沢市に影響)
影響を受ける地域:金沢市、津幡町、白山市
想定地震規模:マグニチュード7.2
被害予測:
・全壊・全焼:46,947棟
・死者:2,212人(うち金沢市が約1,788人)
・避難者:約19万人
・断水:78万人以上/停電:約30万戸
発生確率(今後30年以内):2〜8%(Sランク)
🔹(2)能登半島北岸断層帯(2024年地震と同エリア)
想定地震規模:マグニチュード8.1
大きな被害が想定される地域:輪島市、珠洲市、穴水町、能登町
被害予測:
・全壊・全焼:23,956棟
・死者:1,286人/避難者:28,516人
・断水:6万人以上/停電:約3万戸
※昨年地震が発生したばかりのため、再発の確率は現在「不明」とされています。
3. その他の断層帯(要約)
| 断層帯名 | M規模 | 建物被害 | 死者数 | 避難者数 | 発生確率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 砺波平野西部 | M7.2 | 約23,700棟 | 920人 | 約11万人 | 0~2% |
| 庄川断層帯 | M7.9 | 約34,000棟 | 1,501人 | 約14万人 | 約0% |
| 福井平野東縁断層帯 | M7.6 | 約38,000棟 | 1,782人 | 約8.8万人 | 0~0.07% |
| 能登海岸セグメント | M6.9 | 約5,000棟 | 196人 | 約8,400人 | 評価なし |
| 門前断層帯 | M7.5 | 約9,400棟 | 309人 | 約1.7万人 | 評価なし |
| 七尾湾東方断層帯 | M7.6 | 約29,000棟 | 1,434人 | 約5万人 | 評価なし |
| 邑知潟断層帯 | M7.6 | 約22,000棟 | 882人 | 約7万人 | 2% |
4. 各地域の対応と課題
能登町:自主防災組織の活動を強化し、非常食・水などの備蓄補助も実施。ただし、組織率は32.4%と低く、人口減で活動維持が課題。
金沢市:市中心部の約47%の建物が1981年以前の耐震基準で建てられており、老朽ビルの耐震化・建替え促進が急務。しかし、所有者からは費用やテナント対応への不安の声も。
5. 専門家・住民の声
金沢大学 宮島教授(防災会議会長):「住民と一体になって防災力を強化すべき。能登地震の教訓を生かして備えを」
被災者の声:「27年ぶりの見直しでは遅すぎた」「もっと早ければ被害を抑えられたかもしれない」

6. 輪島市の避難所状況 — 深刻な課題
2025年6月1日、NHKは輪島市の緊急避難場所の一つである「浦上公民館」が安全に利用できない状況にあると報じました。
【場所】輪島市浦上公民館
【状況】2024年9月の豪雨で床上浸水の被害を受けたが、代替施設は未だ見つかっていない
【対象住民】約160人(浦上第1団地の仮設住宅住民)
⁂【主な課題】
・施設は1階建てで、浸水想定区域内にあり、災害時の安全確保が困難
・高齢者の割合が高く、車を持たない人も多いため、避難には約80台の車が必要だが、平日の日中は車両確保が困難
・現状の避難計画では3キロ以上離れた門前中学校や門前公民館への避難を予定しているが、移動手段や人員の支援が不足している
7. 現状の対応と専門家からの提言
a. 輪島市当局
代替施設がないため、「浦上公民館」を緊急避難場所として継続して使用。しかし、浸水リスクや1階建てであることから安全性は確保できないと認めている。
高齢者や移動困難者のために、必要に応じてバスでの移動も検討中。避難先候補は以下の通り:
・標高が高く約3キロ離れた門前中学校
・危険区域から離れた門前公民館
b. 浦上第1団地の住民自治組織
自主的に避難計画を作成中。内容は以下の通り:
・高齢者や支援が必要な人のグループ分け
・必要台数(約80台)を見込んだ車両リストの作成
・避難訓練の実施と情報周知の強化
c. 大きな課題
・自家用車を持たない住民が多い
・平日日中は仕事で人手や車が不足しやすい
・災害情報の周知不足や早期避難への理解が十分でない住民も存在
d. 県および国からの要請
地元自治体への指示:
・浸水経験のある避難所を含む全避難所の再点検
・居住者への情報伝達を紙の掲示だけでなく、直接説明するなど透明性を高める
・仮設住宅近くに新たな避難所の設置や改修の検討
総務省と防災庁からの助言:
「固定された避難場所に依存せず、地震・洪水・土砂災害などの災害種別に応じて柔軟に避難先を分散させる体制を整える必要がある」と強調している。
8. 結論と今後の展望
石川県および金沢市や輪島市などの地域は、地震や自然災害の深刻なリスクに直面しており、防災計画の継続的な見直しと改善が求められています。特に輪島市では、安全性の低い避難所の見直しや代替施設の確保が優先課題であり、高齢者を含む住民の安全確保が急務です。
自治体は住宅やインフラの整備に一層の投資を行うとともに、防災知識の普及啓発を強化する必要があります。地域住民や自治組織、専門家との連携を深めることで、災害対応力の向上が期待されます。また、早期警報システムの充実や安全な移動手段の確保も、今後の重要な課題となっています。





